ダイヤモンド/グラフェン接合を用いた新規光デバイス開発


 ・ダイヤモンド/グラフェン接合を用いた画像(文字)認識
 
近年、レーザー光や水面の波紋等の複雑なダイナミクスを持つ様々な物理現象を演算に用いた
物理リザバー演算(RC)が注目を集めています。物理RCではリザバー層を物理系で実装することで、
従来と比較して低計算コストかつ高速での学習・推論が可能になると期待されています。
しかし現在、物理RCに関する研究は端緒についたばかりであり、
どの様な物理系により低コストかつ高速、高効率な計算が可能か模索されている最中です。
 この様な背景の中我々は、ダイヤモンド/グラフェン接合の有する特異な光伝導特性を用いる事で
画像(文字)認識が可能である事を初めて見出しました。具体的には、図1に示す様に、MNISTデータベースから
取得した手書き数字データを前処理し8×8のパターンにした後、それぞれの行(01110000等)
に対応したパルス光(0がオフ、1がオンに対応)をダイヤモンド/グラフェン接合に照射する事で
光伝導度が変化し、それぞれの数字の行毎に得られる8つの伝導度(I1〜I8)が
数字毎に異なる(図2)事を利用して、数字を認識する形になります。
結果として数字を高精度(〜80%)に認識する事ができました。
 これらの結果はこのダイヤモンド/グラフェン接合が高効率高精度画像検出・認識デバイスとして
使用できる事を示唆しています。


  図1:ダイヤモンド/グラフェン接合を用いた画像(数字)認識の模式図



















  図2:接合の光伝導度(I1〜I8)の数字依存性


























 詳細は、下記論文をご参照下さい


    (Ref.: H. Iwane, G. Saito, S. Muto, and K. Ueda, J. Mater. Res., 39 (2024) 2107-2114,
        Y. Ito, H. Iwane, S. Jia, and K. Ueda, Applied Physics Express, 16 (2023) 071004-1-5.
)
       


<戻る>